好きな人とイヤホンを共有し、同じ音楽を聴きながら街を歩きたい…そんな妄想したことないですか?
私はございます。
好きな人と好きな音楽、そして好きな街並み。これだけあれば百点満点、どんな夜景デートや高級レストランにだって負けないぞ!と私は思うのですが。
そんな妄想を素晴らしい映像と音楽で魅せてくれるのが『はじまりのうた』でございます。
自身が元ミュージシャンで音楽映画を撮らせたらピカイチのジョン・カーニー監督作品。
共同で音楽を制作していた恋人デイヴ(アダム・レヴィーン)に裏切られ傷心の日々を送っていたグレタ(キーラ・ナイトレイ)は、偶然出会った元音楽プロデューサーのダン(マーク・ラファロ)からアルバムを作ろうと持ちかけられる。
しかしスタジオを借りるお金がない彼らは、ニューヨークの街中をスタジオに音楽を奏でていくのです。
キーラ・ナイトレイが初めてギターを弾いたり歌を歌ったりする貴重な姿が見れたり、マルーン5のボーカルであるアダム・レヴィーンが初めて演技をしたりと見どころはたくさんあるのですが、個人的な一押しは先ほど述べたグレタとダンが二人でイヤホンをしながらニューヨークの街を練り歩くシーンですよ。
「プレイリストに性格が表れるんやで」というダンの一言から、互いのウォークマンに入った音楽を聴かせ合う夢のようなシーンなんですよ、奥さん!
そしてね、より一層素敵なのは、二人は決して恋人同士ではないところ。
ミュージシャンとプロデューサーという信頼関係がベースにありながら、このシーンをきっかけに距離を縮めながらも決して世の中にごろごろと転がっているような陳腐な恋物語にならないところが素晴らしいんですよ!
それぞれの立場を尊重して距離感を保ちつつも隠しきれない溢れ出る想い。それをわざとらしいセリフや演技ではなく流れる空気感や目線で感じさせる見事な演出!
ジョン・カーニー監督作品の『ONCE ダブリンの街角で』もそうだったけど、付かず離れずな大人の淡い想いを描かせたらピカイチなんですよ!もう、このむずがゆさがたまらないっ!
ということで、ニューヨークの街並みも美しいし、アダム・レヴィーンとキーラ・ナイトレイがそれぞれに歌った『Lost Stars』は名曲だし、マーク・ラファロのハルクとは違った浮浪者風黄昏おじさんぶりも素敵だし、見どころ満載な『はじまりのうた』、ぜひ観て欲しい!
- ●『はじまりのうた』(2013年)
- 監督ジョン・カーニー
- 出演キーラ・ナイトレイ/マーク・ラファロ/アダム・レヴィーン