もしもゾンビをペットとして飼うことができたら?
そんな夢のような(?)ストーリーが描かれるのが『ゾンビーノ』。ゾンビが主役でありながら、ホッコリできるヒューマンストーリーなのであります。
放射能が原因でゾンビパンデミックが起きた後、欲求を抑える首輪によってゾンビをコントロールできるようになった世界。ゾンビは人間に仕え、庭仕事や家事全般をこなす家政婦のようになっているという素敵な世界観なのですが、そこに疑問を持つ成熟した少年ティミーと、ゾンビ家政婦がまだ家にいないことを気にする外面の良い母ヘレン、父親がゾンビになった過去からゾンビトラウマを抱える父ビルといった個性的な家庭にゾンビ家政婦ファイドがやってきたことで物語が動き出します。
ファイドとティミーの友情物語、母ヘレンとファイドの淡い恋模様(!!)、時間と共に家政婦から家族になっていくファイドの様子が暖かく描かれていて、世に溢れるゾンビ作品とは一線を画す傑作なのです。
でもただの生ぬるいお話ではありません。
ゾンビに食べられた老婆の死体を埋めたりいじめっ子の子供が食べられたりとブラックユーモアに溢れてるので、常識に囚われたお人には少々刺激が強いかも。
でもでも、そんなブラックユーモアも50年代のポップで華やかなファッションや街並みがオブラートに包んでくれるので、おしゃれ映画を観てるかのような錯覚に陥れますよ。
ホラーが苦手な方も安心して観れるほっこりゾンビ映画、ぜひご覧ください!
- ●『ゾンビーノ』(2007年)
- 監督アンドリュー・カリー
- 出演キャリー=アン・モス/ビリー・コノリー/ディラン・ベイカー