妻の出産に立ち会うためにロサンゼルスに向かうピーターは、ひょんなことから見知らぬ男イーサンと道中を共にすることに。しかし、この男、とんでもない超絶トラブルメーカーだった!
ブラッドリー・クーパー主演の『ハングオーバー』シリーズが人気のトッド・フィリップス監督によるコメディー作品。
とにかく今作はお下品だしブラックだし、パンチが効いたユーモアセンスに呆気に取られること間違いなし。
ピーターはイーサンのせいでテロリストと間違えられて飛行機の搭乗拒否されるわ、財布やIDもなくなるわ、事故で大怪我するわの不幸続き。5日後に迫った妻の出産にも間に合うかどうか。
ことあるごとにツッコミを入れるピーターの言葉を無視して周りを巻き込んでいくイーサンは、殴ってでも遠ざけたいくらいの疫病神。
ですが、見た目が熊さんだし空気階段のもぐらさんみたいで心底嫌いになれないのがまた罪。
徹底的に詰め込まれるブラックな笑いにちょっと引いてしまうかもしれないけれど、素直に笑っていいんですよ。
私の尊敬する映画評論家でありラッパーの宇多丸師匠はとあるコメディ作品を評する際、こうおっしゃってました。
「きちんとモラルが共有されてる前提でこそ成立する笑いなわけで、観客の成熟度を信頼している。だからこそ笑いの手を緩めない」んだと。
つまり、お笑いの表現に対して「下品だ!」とか「非モラルだ!」なんて弾弓するのは、受け手が未熟なのだと。
観客がモラルある大人であれば、それは映画の演出であり一種の芸術であると理解できるはずなのです。
反発し合うピーターとイーサンの関係も少しずつ打ち解け合い、最後のシーンではついホロッとしちゃうような緩急のバランスも抜群。
ボディーブローのように繰り出される笑いの数々、モラルある大人の皆様、ぜひご覧ください。
- ●『デュー・デート 出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断』(2011年)
- 監督トッド・フィリップス
- 出演ロバート・ダウニー・Jr. / ザック・ガリフィアナキス / ミシェル・モナハン