50年代のアメリカ、電話交換手の女子高生フェイとラジオDJのエベレットは今まで聞いたことのない周波数を耳にする。そして次々に町の人々から「空に何かがいる!」と連絡が入るのだった。
アメリカの田舎町をノスタルジーな映像で描き出し、早口で豊富ながら核心をつかない謎めいた会話劇で展開するミステリー『ヴァスト・オブ・ナイト』をご紹介。
50年代のアメリカの都市伝説といえば何が思い浮かびますか?
そうです、世にも有名なニューメキシコ州のロズウェル事件。UFOが墜落し、米軍が宇宙人を捉えたという、都市伝説好きでなくても一度は耳にしたことのある出来事ですが、今作は明らかにその事件をベースにして作られています。
なんだ、オカルト映画か、と思いきや、映像へのこだわりハンパないし、地味な会話劇かと思いきや、徐々に疾走感溢れ出す展開に高揚感が高まる素晴らしい作品なのです。
ストーリーはシンプルな分、ネタバレになるので詳しくは言えないのですが、序盤はヌルッとした長回しを多用し、徐々に真相に迫りゆく毎に躍動感あるカメラワークが増えていくという演出が抜群にうまいのです。
今作が処女作と思えない監督の手腕。まじでセンスあるんだぁと、素直に嫉妬しちゃう。
SFモノとしては地味な部類だけど、ノスタルジックな世界観とまるで小説を読んでいるかの様な言葉の洪水は、夜中に観るととっても心地いいよ♪
- ●『ヴァスト・オブ・ナイト』(2019年)
- 監督アンドリュー・パターソン
- 出演シエラ・マコーミック/ジェイク・ホロウィッツ/ブルース・デイビス