2022年5月31日

【vol.9】今日を生き抜くための砂糖をひと粒/ミスミアヤカ

ご機嫌いかがですか。
ミスミアヤカです。
吹く風に夏の匂いをやや感じる日常のなか、少しでも穏やかな気持ちになれるように生活の中でときめきを探している今日このごろ。

今回のテーマは「おやつ」。

3時じゃなくても、どんなときでも、あなたの心を癒してくれますように。

夕暮れはアップルパイの色に似て煮詰めたりんごは胃の中にいて

ポケットにしのばせているお守りのようにあたしを守るマシュマロ

メレンゲのもろさにちょっと戸惑った17歳の夏とはつこい

「Afternoon」

今日のウェルカムドリンクは宇宙の色を表しているらしい
ブルーの氷に愛されたいわ
からんと返事をちょうだい 今すぐ

パンに蜜を含ませ召しませ
少女 内緒の時間の始まり
赤いリボンと白いフリルのドレス
今日を生き抜くドレスです

あと50分で此処を出て
58分のバスに乗らなくちゃ
集めた100円玉は40枚
苺のプリン
チョコレート
マカロン
ムース
全部がわたしの身体をつくる

あと15分で此処を出て
58分のバスに乗らなくちゃ
苺の色のドレスの上に
母にもらったセーターとスカートを被せ
わたしは「私」に戻らなきゃ

すました顔して帰らなきゃ
ストロベリーティー
胃を染めていく
あと10分で此処を出て
58分のバスに乗りたくない

  • 記事を書いた人
    ミスミアヤカ
【AWAP公式ブロガー】徳島県在住。詩人・歌人を志し、文芸創作活動中。高校生の時から現在に至るまで、小説や詩、短歌の作品を作り続けている。

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