連載概要
劇団まんまる女優、フリーアナウンサー、司会、声優講師など様々な活動を行っている清水宏香さんによる連載。現場で活躍する女優ならではの情報や観劇レポートなど、『演劇』に関する情報を発信してくれます。
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【vol.9】小さな舞台の大きな力
前にこのブログで最年少劇団員しんさくについて書いたじゃないですか。
あれ読んだ(それもかなり時差で)しんさくが、ほかの人のブログが面白かったと言ったのでもうあいつのことは書きません!
親の心子知らずってこんな感じよなぁ。子供おらんけど。
清水宏香です。
しんさくはラジオを聴いたお母さんの勧めで劇団に入ってきましたが、ほかにも様々なきっかけで入団する人がいます。
先日、徳島clubGRINDHOUSEにて行われた「山の日企画」イベントで初舞台を踏んだ海月理奈、愛称くらちゃんは県外出身。
そもそも徳島に来た理由が、
「愛媛に住みたかったけど本州とまだ近いから妥協で徳島に来た」という謎の動機。
言うとくけど
愛媛と徳島結構遠いからな。
四国住みなら首もげるほど頷いてる。
それほど四国山脈の壁はでけえのです。隣県でありながら遠い。天気も違うからね。
くらちゃんは、「自分ではない誰かになりたい」という思いを抱いて劇団に入ってきました。
脚本家が本を書き、そこに出てくるキャラクターを演じ、台詞を喋り動く。
実に様々な誰かになれます。
私もこれまでにネズミのばあさんからゴジラの彼女、ヤクザの愛人にぼったくりバーのキャバ嬢、様々なキャラになってきました。アクが強めですね。
先日の初舞台「いいね!ぼくのぼったくりバー」ではくらちゃんはキャバクラのボーイ役になりました。
最初は本当に不安そうな表情でした。思ってるキャラと演出の要求するキャラがなかなか合わず、苦戦してました。
それでも毎日、諦めずに一生懸命稽古してくれました。
だんだんと自分の壁の様なものが取れはじめた頃、ようやく「ボーイとしてそこにいる」感じが出てきました。
本番前に衣装をきちんと着て、髪もセットすると目をキラキラさせて興奮してました。
ところで、私は自分の衣装をまっさきに決めます。何かになる時、自分に出来る事なんて限られている。ならば様々なところからその要素をかき集めてこなければならない。
そのひとつが衣装です。今回もキャバ嬢の衣装をクレメントで2000円で見つけた時は「勝ったな」と思いましたね。何にか知らんけど。
衣装を着て外側を決めると、まず共演者が自分を見る目がそのキャラクターになる。それを利用して自分の演技に繋げているんです。スェットの私でいるよりスーツでいる私に司会とか頼みたいですよね?
もっともこれは演劇に限らずな話です。他人は自分を映す鏡。自分自身を直接見ることは一生出来ないので、他人にゆだねざるを得ない。
何かを言った時や何かをした時の相手の反応。その作用で自分もまた揺れ動く。それはどうしてか。
そんなやり取りから考察を重ね、自分をゆっくりじっくり知っていくのです。
くらちゃんは「自分ではない誰かになりたい」という思いを遂げるためにここに来ましたが、まず「自分が誰なのかを知る」ことが一歩目だと私は思うのです。
そうして、自分の殻を脱いで、誰かになっていく。
演劇を作るのは難しいけど本当に楽しいです。
くらちゃんの今後の成長にご期待ください。
そんなくらちゃんがどんな子か見る事が出来るのは
・・・そう、劇団HP!
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