2025年9月5日

【カッコイイオトナ】白桃さと美 さん「親も、地域も、育ちあう 子どもが愛着を持てる徳島に」

どのような活動をしていますか?

私はNPO法人徳島の子育てに伴走する会『マチノワの理事長、株式会社白桃さと美デザイン事務所の代表取締役をしていて、グラフィックデザイナーです。
今は核家族とか共働きの世帯高齢出産の方がとても多く、地域のコミュニティーが希薄化していることや、この3年コロナ禍ですごく影響があって、子育てに悩む家庭がたくさんいます。今、産前産後の方で、3人に1人が産後うつになると言われていまして、さらに妊産婦の亡くなる原因の第一位が自殺と言われています。
私たちマチノワは、不安や悩みを打ち明けたり頼れる人が身近にいないという方のために、おきのすインドアパークの3階にあるクリエイティブラボというところで、『マチノワみんなのお茶の間』という居場所を開いています。

その活動を始めたきっかけは?

私には5歳の息子と、コロナ禍で出産した3歳になる息子がいて、第1子出産後に産後うつになりました。
第1子の妊娠・出産時、マタハラ(マタニティハラスメント…妊娠・出産・育児をきっかけに職場で不当な扱いを受けることなど)に遭って退職をしたり、核家族ワンオペで常に不安状態、普通に話をしていても涙が出てきてしまう…という状態が続いていました。
同じ時期に出産した友だちがいなくて、繋がりのない状態での子育てで。行政や医療機関などの情報も持っていませんでした。そんな中で第2子を妊娠し、妊婦健診で産後うつと診断され、ようやく医療機関と繋がることができ、今では元気に過ごすことができるようになりました。
そしてコロナ禍で第2子を出産したのですが、私を含め誰もが閉塞感の中で子育てをする様子をみて、それを解消するためにこの活動を始めました。

なぜ徳島で活動しているか

産前産後って、誰もがしんどい状況に陥るんですよね。でも、徳島県には継続してサポートしてくれる機関がなかった、というのが徳島を拠点にしている理由です。
人生の一本線上に、結婚・妊娠・子育てはあるけど、病院や行政、民間サービスなどは状況によって窓口が異なります。でも、とりあえずマチノワに来てもらえれば、そういったところの情報提供だったり、サポートだったりができるようにして、産前産後の拠り所のようにしてもらいたいと思っています。

徳島で活動するメリット・デメリット

私は神山出身で今は徳島市に在住しています。徳島は、私が生まれ育った場所、そして就職して暮らしている場所なんですけれども、やはり小さい頃、学生の頃は、ここのよさはあまりわかりませんでした。
でも、たくさんの繋がりの中で、自分が頑張ろうって手を挙げた時に応援してくれる土壌があって、とてもあたたかい、そういうところが徳島で活動をするメリットになってます。
デメリットは、やはり情報が少ないというところが、なかなか難しいですね。あと、私たちが活動する子育て分野では、行政の支援、行政と一緒に動いていくんですけど、行政と民間とが連携をとりにくいっていうところはデメリットですね。

目標や夢

私の子どもたちが大人になった時、「いい街だな、好きだな、ここで暮らしていきたいな」って愛着を持って暮らせるような徳島にしたいと思っています。そのために私たちは今、子育て真っ只中の大人たちが繋がって、地域の一人ひとりとワクワクしながら子育てを楽しんでいくこと、そんな文化をみんなと共に育んでいくことが夢ですね。
私たちのマチノワは「親も、地域も、育ちあう」っていうものをテーマにしてて、そういう関係を目指しています。

「どうせ徳島だから…」と県外に出てそれっきりや、夢を諦めるってどう思う?

「私にできるのかな?」っていう迷いや、外に憧れる気持ちは、私にもあります。
私、本業はデザイナーなんですよ。仕事をする時にたくさん条件があるんですけど、例えばパンフレット一つ作るにしても「こういうものを作ってほしい。」「こういう人に届けたい」って必ず条件があるんですよね。そんな条件がある中で、どんな選択をすると、自分自身がワクワクするかなとか、これを作ったら相手、見る人がワクワクするかなっていう選択をするようにしています。
自分の物差しで、物事を自分事として考えていく選択をしてほしいなって思っています。だから、「徳島だから」といって、できる・できないことはないと思っていて、自分がどういうアイデアを持って、ここ徳島で過ごしていくかというところがとても大事だと感じています。

読者へメッセージ

私は今30代後半なんですけど、若い時に想像した以上に人生長いな、と。産後うつになったりとか、仕事で失敗したりとか、壁に当たることもたくさんありました。でも、そういった経験が今の活動に繋がっていて、オリジナルの自分とか、今、私にしかできないことっていうのを、これまでの経験が生んでくれたなと思っています。少し失敗しながらも続けていくことで、繋がってくるんですね。
失敗を恐れずに、失敗から学ぶために、まず失敗するために精一杯いろんなことに関わってチャレンジしてみてほしいです。

インタビュー動画はこちら

※この記事はフリーマガジン「AWAP 2024年号」に掲載された内容をWEB用に再構成したものです。
取材は、2023年12月2日(土)に開催された公開収録イベント
夢語りシンポジウム」にて実施されました。

あとがき

自分のことではなくとも子育てとはとても身近なものであります。子どもたちを守るためにもご両親が心身ともに健康でなければと思います。3人に1人が産後うつになりえる今、少しでも心軽くなるように手を取り合うこと、その現状を知ることが必要になってくる現代でマチノワはその一歩を後押ししてくれる場所であると思います。もっと多くの人に見つけてほしい居場所だなと感じました。

  • 記事を書いた人
    【ASC1期生】みこと
AWAPの運営する学生コミュニティ『AWAP学生クリエイターズ』メンバー。AWAP編集部と共にフリーマガジン制作やイベントなどの活動を行っている。

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