

どのような活動をしていますか?
私は、2021年のコロナ禍で子育てと仕事の両立が難しくなり、会社を急に辞めてしまいました。 そこから『AYAクリエイティブ』という、自分史やシニア世代の方々のライフストーリーをウェブで形にしていくサービスを立ち上げました。
当時は外に出られない状況が続いていて、専業主婦の方々が家にこもってしまい、孤独を感じていることに気づきました。そういう方たちに、社会とつながる機会を届けたいという思いで、高時給の在宅ワークを提供する事業をスタートさせました。
ただ、4年ほどやってきて、売上も自分史事業だけでは年間250万円ほどで、持続するには難しくなってきて…。 なので、2025年の4月に『株式会社FemiCross』という新しい会社を立ち上げました。
この会社では、女性支援をベースにした教育研修やマーケティング、メディア運営などのコンサルをやっていく予定で、一番力を入れたいのは『ソーシャルアクション事業』です。 法律や制度に働きかけて、女性支援につながる仕組みそのものを変えていけたらと思っています。
女性だから、と生きづらさを感じないためにできることって?
私自身、大学生や若い世代の方にキャリア教育を届けていきたいと思っています。 会社に入ったとき、自分が将来育休を取るかもなんて考えてキャリア設計する人って、まだ少ないと思うんですよね。
でも、もし将来的に子どもがほしいと思っているなら、子どもがいる場合のキャリアプランと、いない場合のキャリアプラン、両方持っておくのが大事だと思います。 男性も女性も、自分のライフステージを見据えて、選択肢を持っておくことが、自分らしい生き方につながるんじゃないかな、と。
あと、無意識の偏見、いわゆる『アンコンシャス・バイアス』も大きな課題だと思っています。 〝子育てはお母さんがするもの〟みたいな思い込みって、無意識のうちに私たちの中にあって、気づかずに偏った考え方をしてしまっていることも多いんです。
それを、まず〝自分の中にアンコンシャス・バイアスがある〟と知ってもらうこと。そして、みんなが偏見なく、自分の人生を自由に選べる社会を目指したいと思っています。
徳島を拠点にするメリットとデメリット
私は東京出身で、徳島に来てみて「すごく事業がしやすい!」と感じました。 やっぱり、規模が小さい分、コミュニティが近いんですよね。〝友達の友達は友達〟みたいな感覚があって、それがビジネスにも活きてくるんです。
目立とうと思えば、徳島ではユニークな存在になりやすいですし、それって大きな強み。東京だと、周りにすごい人がたくさんいて、自分のポジションが見えにくかったりするんですけど、徳島では自分の立ち位置を築きやすいなと感じます。
デメリットはあんまりないんですが、強いて言えば「仕事の単価が東京より低いこと」ですね。でも、私は東京の高単価案件をリモートで続けているので、そこまで困ってはいません。 徳島でもしっかり収入を得ている人はたくさんいるので、自分がそのポジションに上がる努力をすればいいだけかなと思っています。
今後の目標や夢は?
『FemiCross』で女性がもっと生きやすくなるような社会づくりをしていきたいと思っています。
そのためにまず、アンコンシャス・バイアスみたいな無意識の偏見をなくしていきたい。 「ごはんをつくるのはママの仕事?」って問いかけるだけでも、社会の見方がちょっと変わると思うんです。
もうひとつは、社会制度を変えていくこと。 今もまだ、同じ仕事をしてるのに女性の方が給料が低いことが多いです。最近は企業に対して賃金格差の公表義務が出てきて、少しずつ改善の動きがあるんですが、それをもっと加速させたい。
男女関係なく、きちんと仕事の中身で評価される社会にしていきたい―そんな政策提言をしていくのが、今の私の目標です。
「どうせ徳島だから」と夢を諦めることについてどう思う?
東京から徳島に来て、「どうせ徳島だから」なんて思ったことは、一度もありません。 むしろ、外で経験や実績を積んだあとに徳島で活動すると、一番力を発揮できると感じています。
若いうちは、どんどん外に出ていいと思います。海外でも東京でも、大阪でも。 そして、力をつけた状態で徳島に戻ってきたら、「徳島でも全然いけるじゃん!」ってきっと思えるはず。
だから、「どうせ…」って気持ちは、視野が狭くなっているだけ。まずは外に出て、力をつけてほしいと思います。
読者へメッセージ
私は、所謂〝失敗した起業家〟なのかもしれません。でも、だからといって落ち込んでるわけじゃなくて…。
夢や目標って、変えてもいいんですよ。修正しても、回り道しても全然いい。 その時の自分が、「これだ!」って思える夢に寄り添いながら、少しずつ進んでいけばいい。
自分の〝素直な気持ち〟にちゃんと耳を傾けて、一歩踏み出してもらえたら嬉しいです。
インタビュー動画はこちら
※この記事はフリーマガジン「AWAP 2025年号」に掲載された内容をWEB用に再構成したものです。
取材は、2024年11月30日(土)に開催された公開収録イベント
「夢語りシンポジウム」にて実施されました。