今回は「本当にいた!」という大それた触れ込みで密かに人気のあるB級パニック映画『トロール・ハンター』のご紹介です。
何が「本当にいた」かって?
それは北欧の妖精である「トロール」です。
トロールというと皆様はどんな姿をご想像しますか?
なんとなく目や耳や鼻が大きい小人かな?みたいな漠然としたイメージではないでしょうか。Googleさんで「トロール」と検索すると出てくる、60年代に流行したらしいトロール人形が個人的にイメージにぴったりなのですが。
もちろん妖精さんなので実際の姿なんてわかりませんが、北欧では醜い見た目に知能が低く悪意ある存在として認知されているようです。
そんなトロールの姿が惜しげもなく拝見できる作品『トロール・ハンター』。
もちろんCGで作れたものでB級作品らしい粗さはあるのですが、低予算映画にありがちな肝心のモンスターの姿を忙しないカメラワークではっきりと映さないという逃げがなくて好印象でした。
それに、腕が欠損しているリングルフィンチや三つ頭のトッサーラッド、群れで生息するマウンテンキングなど、様々なトロールの生態を見せてくれるサービス精神。
極め付けはラストに出てくる全長60メートル越えのヨットナール。
彼の姿を目にしたとき、ゾッとするのと同時に妙な感動を覚えるに違いありません。
今作が面白いのはトロールの描写はもちろんですが、彼らを追うトロールハンターのハンスの存在が大きいのは間違いない。政府に頼まれてトロールの存在を世間にバレないよう秘密裏に行動をする彼は、トロールと対峙しながら自らの存在意義を問い続ける孤独なおじさま。
このおじさまが渋いこと。
たった一人、山奥でトロールの形跡を消し続ける姿は職人そのもので、おじさま好きは哀愁漂う背中をぎゅっと抱きしめたくなっちゃうこと間違いなしなのです。
リアルなトロールの設定や現実の環境問題に通ずる点など、他のB級映画にはない作り込みでカルト的人気の今作。
普段大作しか観ない方もぜひご覧ください!
- ●『トロール・ハンター』(2010年)
- 監督アンドレ・ウーヴレダル
- 出演オットー・イェスパーセン/グレン・エルランド・トスタード/ヨハンナ・モールク