悪徳商人の但馬屋と立ち退きを迫られる貧しい長屋の人々。
百物語のたたりとして現れた妖怪たちが悪代官たちを追い込んでいく。
大映京都撮影所から生まれた“妖怪”シリーズ第1作。
60年代の作品とあって手作り感のある妖怪たちがユーモラスで、でもきっと子供時代に見たら恐怖を覚えたであろう作り込まれたビジュアルがもう素敵! 特に筆で描いた傘おばけがそのまま壁から飛び出るシーンなんて、子供番組『いないいないばあ』のワンワンのコーナーみたいで心がほっこり。
だからといって「どうせ子供向けだろう」と侮っちゃぁいけません。
妖怪という冠からは想像できない、大人なドラマが見もの。
悪代官と暮らしを守ろうとする貧しい人々とのいざこざ、そこにうまく妖怪を組み込んでいて、ファンタジー然とせずしっかり時代劇に納まっている人間臭いドラマなのです。
個人的には若かれし平泉成(当時は平泉征)がワイルドイケメンで、今ちょっと推しです。
他にも目力強めの土臭い(褒めてる)かっこいい男どもが勢揃いなので、妖怪と共にご堪能ください。
- ●『妖怪百物語』(1968年)
- 監督安田公義
- 出演藤巻潤 / 高田美和 / 平泉征