アメリカの水爆実験が発端となり巨大なタコが人間を襲うSF作品。
1955年制作という古い作品なのですが、特撮巨大ダコとロマンティックな大人の恋愛に甘美な気持ちになれる逸品です。
50年代からハリウッドで活躍した特撮の神、レイ・ハリーハウゼンが手がけた巨大ダコ。
今の私たちからすると荒くてぎこちない動きには決して驚きはありませんが、逆にそのアナログな様子が可愛く思えてきます。
柱や船に巻きつく姿なんか、子犬が飼い主に甘えて足元に寄ってくるみたいな(本来なら恐怖心を抱くべきシーンですが)。人間よりもタコを応援したくなっちゃう、愛しきモンスターになっています。
そんな愛しきタコさんと、彼(?)を追う女性研究者と軍人の恋愛の駆け引き模様が相まって、今作を甘い甘ーい作品に仕上げています。監督やハリーハウゼンにそんな意図はあったとは思えませんが、私的にはこれは大恋愛映画だと位置付けています。
巨大ダコは恋愛を邪魔するライバルであり、ライバルという障害のおかげでより恋の火が燃え上がる男女。そんな三角関係的要素が実は隠されている、と私は勝手に解釈しております。
もちろんSFとして鑑賞するのが一番ですが、一風変わった恋愛ものを観たい方、ぜひご鑑賞ください。
- ●『水爆と深海の怪物』(1955年)
- 監督ロバート・ゴードン
- 出演ケネス・トビー / フェイス・ドマーグ / イアン・キース