複雑な家庭環境から逃げるように一人暮らしを始めたサラ。
完璧な居住地に完璧な隣人・・・・と思いきや、彼らにはとある秘密があった。
若い頃は誰しもが一人暮らしに憧れますよねー。私も主人公と同じように複雑な家庭環境から逃げ出すように一人暮らしを始めたもんですから、気持ちがとーってもわかるんですよねー。親の束縛から解き放たれたら、友達を好きなだけよんで朝まで遊んだり、異性を連れ込んだり連れ込まれたり、なんて妄想したりして。
でも、もしも引っ越した先が花の都ではなく、マッドな住宅地だったら?
今作は『ミッドサマー』をミニマムな器に落とし込んだような、身近に存在するかもしれないカルト集団の恐怖を描いています。
そうです、主人公サラが引っ越した先はとあるカルトな集団が生活する居住地の一室でした。
そこでサラは拷問され、洗脳されてゆくのですが・・・
カルト集団の言う、強く完璧な共同体で支え合って生きていくという思想は一見突飛なようで人間の歴史から見ると至極当然なことでもあるのかな、と思ったり。
旦那が文化人類学について勉強してるのでよく話を聞かされるのですが、人類はコミュニティを作り、そのコミュニティにとって足手まといになると判断した人間は容赦無く切り捨てることでこれまで生き延びてきたそうで。
それを踏まえると、カルト集団の思想はあながち間違ってはないのだなぁと思ったりしてね。
そんな風に人類の歴史と重ね合わせてみると、拷問や洗脳といった大筋のテーマと違った見方ができて面白いのです。
『ミッドサマー』や『ウィッカーマン』といった田舎に存在するカルト集団を描いた作品は数多くありますが、今作は淡々とした語り口ながら、街中にカルト集団が存在しているという点がよりリアルで怖い。
もしかしたら隣のマンションにも彼らのような集団がいたりして・・・なんて妄想しながら観るのもおすすめです!
- ●『マッド・ハウス』(2019年)
- 監督デビッド・マーモー
- 出演ニコール・ブライドン・ブルーム/ジャイルズ・マッシー/テイラー・ニコルズ