娘を何者かに囚われた検死官の男が、娘を救出すべく謎を解き明かしながら真犯人に迫る北欧産スリラー。
解剖×謎解きという斬新な設定で一瞬も目が離せないスリラーをご紹介。
北欧産スリラーといえばハリウッドでもリメイクされた『ドラゴン・タトゥーの女』やNetflixでリメイクされた『THE GUILTY/ギルティ』など、秀逸な作品が多く排出されています。
綿密に練られたプロットや観客の心に残るキャラクター、じっとりとした重みのある人間ドラマといった特徴がハリウッド作品とは違う点ですね。一面の雪景色や荒々しい北海など、寒々しい景色もこの季節にはぴったり。
今回ご紹介する『カット/オフ』も息つく暇もないほどの痛々しい緊張感に満ち満ちていて、スリラー好きにはたまりません。でも、今作が一味違うところは「解剖」が一つのテーマとなっている点。
娘を誘拐された男が娘の居場所を探すためにとある死体を解剖をするのですが、なんとさっき知り合った女子にリモートで解剖をさせるという荒技。
自分が現場に行けないからってそりゃないよ〜って感じですが、それに嫌々ながらも応じる女子リンダがね、かっこかわいいのですよ。強めメイクに黒ネイルでロックな格好ながら、ストーカーの影に怯える弱さと嫌々解剖する中で様々な恐怖に立ち向かおうとする彼女の再生。そういったキャラの深掘りもこの作品の魅力です。
正直、犯人の用意周到さと金田一少年のような謎解きが一種ファンタジーのごとく現実離れしているのですが、そこを穴埋めするように解剖シーンや細々とした演出のリアルさは半端ない。
メスを入れるシーンは目を背けたくなるほどなので、あまり痛々しい描写に慣れてない方はご注意を。
それでも今作はスリラーものとして本当におもしろい!ぜひご覧ください!
- ●『カット/オフ』(2018年)
- 監督クリスティアン・アルヴァルト
- 出演モーリッツ・ブライトブトロイ/ヤナス・フリッツィー・バウアー/ラース・アイディンガー