シェアハウスで暮らす男女若者4人はアプリ開発で一攫千金を狙っていた。
ある日屋根裏で隠し部屋を見つけた彼らはパラレルワールドへと繋がる鏡の存在を知り、人間関係が徐々に変化していく。
鏡をすり抜けることでパラレルワールドと現世界を行き来できるというだけでもワクワクなんだけども、あちらの世界は多次元世界で鏡を通るたびに違う次元になる、時間の進み方が違う(現世界の1分があちらでは3時間)、など興味深い設定の中、彼らは別世界の自分たちの財布から金を盗んでは好き放題!
はじめはどこか垢抜けなかった彼らが一気にリッチな身なりになり、別世界から盗んできたアイデアで成功を収める様はイケイケyoutuberを見ているような気分でした・・・。
明らかにしっぺ返しが来るであろう前半の彼らの振る舞いを見つつ、「自分は彼らのようにはならないぞ!」と思いながらも、現世界に全く影響がないのなら同じことするかもなぁ・・と人間の欲深さに妙に納得したり。
案の定後半は人間関係が崩れ始め、最悪の結果を招くのです。
今作はパラレルワールドという壮大な設定をベースにしながらも、結局は彼ら身内だけで崩壊を招くというとても小さな話にまとまっている。それがすこぶるB級っぽくて良いんです。
『2⚫世紀少年』の某漫画家さんのように大風呂敷を広げては結局とっ散らかる作品よりは、身の丈にあったサイズで展開する潔さ。良いんです。
アマゾンプライムでは「あなたの頭脳を刺激する超常SFスリラー!!」なんて謳い文句がついてますけども、そんなこたぁない、ただのヒトコワスリラーですよ、これ。
自分の能力に見合わない力を得た時に人はどう動くのかを描いたドラマでありながら、ついでにSF要素が付いてくるくらいに観るととってもお得な気分♡
頭を使いたくないけどSF世界に浸かりたい、そんなときにとってもおすすめな「ちょうど良いB級」です。ぜひ。
- ●『パラレル 多次元世界』(2018年)
- 監督イサーク・エスバン
- 出演アムル・アミーン / マルティン・ヴァルストロム / ジョージア・キング