

どのような活動をしていますか?
ロックバンドとかがたくさんライブをする場所で雇われ店長を何年かやっていて、それと並行して『若者たち』という音楽イベントをやっています。このイベントをやっていると、若者を応援している人みたいな捉え方をされるんですけど、イベント名決める時に聴いていたのが、サニーデイ・サービスの『若者たち』という曲だったので、そのイベントタイトルにしただけで別に応援してやろうという思いはあんまりないです、すんません(笑)
その活動を始めたきっかけは?
THE BLUE HEARTSの甲本ヒロトさんが大好きなんですけど、あるインタビューで「音楽をやっていた中で一番楽しかったことは何ですか」という質問に対して「一番最初にギターを鳴らした時が一番楽しかった。その時がずっと続いているだけで、別にあの時から俺はずっと楽しい。」と答えていたことにすごく感銘を受けました。
実際、バンドや音楽活動を始めた時ってすごく楽しいんですよ。でも、続けていく中で、しんどさとか、夢や目標がないとやっちゃいけないのかって感じになっちゃうんですけど、だるいなと思うんです、そういうのは。だって楽しいからやってたのに、なんで楽しめなくなったんやろ、みたいな。
でも楽しくない理由もわかってるんですよ。世間体もあるし、プレーヤーもオーディエンスも少ないから、誘われたらイベント出演も断りづらい、あとは、その数少ないオーディエンスを数少ないプレーヤーが取り合ったり…。
そういう煩わしさがあって、楽しさと煩わさが天秤に乗った時、いつの間にか煩わしさの方が大きくなってしまうんですよね。それをどうにか自分の中で覆したいから、ちょっとだけ背伸びしたイベントをやろうと思って、この『若者たち』というイベントを始めました。
徳島で活動してきた理由
生まれ育った場所だということも、もちろん大きいんですけど、単純に面白い人が多いんですよね。徳島出身のアーティストでも、佐藤タイジさんや、自分の身近だと、チャットモンチー、四星球、あとライブハウススタッフとして関わっていた人でいうと、米津玄師くんとかKing Gnuの勢喜遊くんとか。人気があって、音楽で生活しててすごい、というのもあるけど、何を思ってこんな表現に行き着いたんだろう、というか。
売れたいから、たくさんの人に認められたいから、という理由でやっているんじゃなくて、自分のやりたいことをやった結果、多くの人を巻き込んでしまった、みたいな人が多いと思うんです。もちろん巻き込めなかった人もいるんですけど、でも、自分のやっていることを突き詰めている人が、徳島にはすごく多いと思います。そこに魅力を感じていますね、現在進行形で。
徳島で活動するメリット・デメリット
小さな田舎なので、テレビやラジオ、新聞、タウン誌などのメディアにも取り上げてもらいやすいし、ある一定のラインまで行くのは簡単なんですよね、徳島って。
でも、その一定のラインにたどり着いたから何?という感じで。イベントに、100人、200人呼んだから、音楽でご飯を食べられるのかと言われると、そうではないし、そもそもご飯を食べるために音楽をやってるのかってところでもあるし。
簡単に掴めてしまう栄光があるからこそ、とてつもなく大事なものを見失う子が多いなと思うんです。
でも、東京や大阪だと、簡単には掴めないから、一番最初に信じたものを追いかけるだけなんじゃないかな、と。住んだことないからわからないんですけど、そう思うことはありますね。
目標や夢
ただ楽しければいい、本当にそれだけですね。(前述のような)煩わしいことを全部排除した、とにかく楽しいことができる場を作りたいです。
自分の「楽しい」の原点って、例えば、小学校の帰り道に芝生の坂をダンボールで滑って誰が一番最初に降りれるか、とか、いい感じの枝見つけて「ワー!」って振り回したりとか…。次の日になったら「何が楽しかったんだろう?」ってなるような、なんかわからんけど楽しいみたいなことを、やっていきたいなって思うんです。
家族でテーマパークに行くとか、そうなると大義名分もあるから、年をとっても環境が変わってもできることなんですけど、そういうのじゃなくて。イベントやライブハウスで、ただただ芝生を転がるような遊びをしたい。そういう遊びができる場を創りたいですね。
「どうせ徳島だから…」と県外に出てそれっきりや、夢を諦めるってどう思う?
どうせ徳島だからって思いますよね。思うでしょ?(笑)でも、そこで夢を諦めてしまったら、どの街に行っても諦めるんじゃないかなと思いますし、徳島だからこその面白さも絶対ありますから、それを探したらいいのではないかなと思います。
自分の最大のコンプレックスなんですけど、徳島以外で暮らしたことがないんですね。東京とか大阪に根を張って住んだことがないので、県外に出てそれっきりという方の気持ちはわからないけど、県外に出たかったら出たらいいと思います。出た上で、そこが心地良く感じれば、それはそれでいいですし、その上でやっぱり徳島がいいなと思ったら帰ってきたらいい。
結局そういう諦めてしまう人たちって、自分の一番大事なものから逃げているのかな、と。それさえ見失わなければ、徳島だろうが、県外に行こうが、やるべきことは一緒だと思います。
読者へメッセージ
正直、徳島にいても、県外にいても夢を掴む人は掴むし、掴めない人は、どこにいても掴めない。
大事なもの、自分にとって譲れないものが何なのかというのを自問自答し続けて、そこに立ち向かうことが大事だと思います。その中で、変わっていくことも、変わらないものもあるだろうし、その何かを見失わないように、自分の胸にある大事なものを信じて突き進むだけだと思うので、一緒に頑張りましょう。
インタビュー動画はこちら
※この記事はフリーマガジン「AWAP 2024年号」に掲載された内容をWEB用に再構成したものです。
取材は、2023年12月2日(土)に開催された公開収録イベント
「夢語りシンポジウム」にて実施されました。
あとがき
大人になるにつれ何かと理由が必要だと思うようになっていました。理由なんてなくともやりたいことを行い、信じたいものを信じる。ただ楽しみたいという思いも立派な理由になりえるものだと感じました。なんとなく思いついたことを全力で楽しむことも大切な糧なのかもしれません。