2025年9月8日

【カッコイイオトナ】中山知保さん「デジタルアートの力で地域と福祉をつなぐ」

どのような活動をしていますか?

私は、医療や介護を通じて、より良い福祉の循環を目指しており、同じ『PCW』という名称で、それぞれ違う役割を持つ任意団体と株式会社を運営しています。
任意団体は2023年5月に設立し、1年ごとに更新されるメンバーシップ制度を取り入れています。昨年・今年ともに、100名以上の方にご入会いただきました。
主な活動は、デジタルアートの展示を中心としたイベントの運営です。徳島県をはじめ、石川県、静岡県、愛知県など、さまざまな地域で展示イベントを開催してきました。ご縁があって、韓国やニュージーランドでもイベントを行いました。
二つ目の取り組みとして、『虹色の塗り絵』というプロジェクトがあります。塗り絵素材を、岡山県の総合病院に入院中の小児病棟の子どもたちや、静岡県の就労支援施設、愛知県の児童福祉施設、徳島県のデイサービスセンターなどに提供しています。
三つ目は、北海道にある『NPO法人 絵本屋だっこ』さんと連携して、絵本を作ってみたい人の支援や、すでに活動している方の認知拡大のお手伝いをしています。
四つ目は、静岡県の就労支援施設と連携し、展示イベントで使う紹介カードの作成や、仮想空間(メタバース)での展示作業を業務委託しています。障がいのある方々が、支援員さんのサポートを受けながら、PCWのガイドラインを参考にとても丁寧に取り組んでくださっています。
株式会社は、2025年3月に設立。私はこれまで14年にわたって看護師の仕事をしており、こちらでは訪問看護ステーションすみれ』を運営しています。

現在の活動について

まず、任意団体の活動のきっかけは『NFT』と呼ばれるブロックチェーン技術に出会ったこと。 ブロックチェーンというと、仮想通貨のビットコインなどをイメージされる方もいるかもしれません。その技術を応用したNFTでは、画像や動画といったデジタルデータに証明書のような価値を持たせることができます。
私は『Phantoms』というキャラクターのデジタルアートを制作しており、NFTとして世界中の方に購入・保有していただいています。オーストリア、南米、韓国、中国など、たくさんの国の方が応援してくれています。
その中で、保有者の多くがアーティストだったこともあり、「アーティストが活躍できる場をつくりたい」と思ったのが展示イベントの始まりでした。点と点が線になって、さらに絵になって、いろんな人が集まる場所を作りたいと思ったんです。
株式会社PCW、訪問看護ステーションすみれの設立の原点にあるのは「もっとその人らしい暮らしを、もっと身近な場所で支えたい」という想いです。長年の病院勤務の中で、制度や人手の制限によって、〝本当に必要な支援〟に十分応えられないもどかしさを感じる場面が多くありました。ご本人やご家族の「こんなふうに過ごしたい」という願いが、制度の壁に阻まれてしまうことも…。「それなら、自分で場をつくろう」と決意し、地域でその人らしく暮らせるケアを届けるために立ち上げたのが『訪問看護ステーションすみれ』です。

これまでの経歴を教えてください

看護師としては、14年目になります。今は38歳で、訪問看護師として活動しています。看護師を目指したきっかけは、祖母が難病で入院していたときの経験でした。
ある日、祖母が「声をかけてから注射してくれた看護師さんの方が痛くなかった」と話していて、技術だけじゃない、心のケアが看護にはあるんだと気づいたんです。それが原点でした。

NFTについて詳しく教えてください

NFTは『Non-Fungible Token(ノン・ファンジブル・トークン)』の略で『替えがきかないトークン(証明書)』という意味です。ブロックチェーン技術を使っていて、デジタルデータに対して唯一無二の証明をつけることができるんです。
私が描いているPhantomsというデジタルアートも、そのNFTとして販売していて、改ざんできないデータとして世界中の方に見てもらっています。
詳しく説明するのがちょっと難しいんですが、気になった方はぜひ調べてみてください(笑)。

徳島を拠点に活動するメリットとデメリット

徳島の良さは〝狭い〟ということ。人を辿ると誰かしらつながっていて、共感や協力が生まれやすいんです。ちょっとした波に乗れたら、一気に広がる可能性を秘めてると思います。
デメリットは…あまり思いつきませんが、強いて言えば『人口減少』でしょうか。

今後の夢や目標

任意団体の活動を通じて、展示や塗り絵など、さまざまな表現の機会を提供し、地域社会を活性化させたり、福祉に貢献できたらいいなと思っています。
また、訪問看護では、身体だけではなく心も大切にしながら、心身ともに健康で豊かな生活をサポートしていきたいと思っています。

「どうせ徳島だから」と夢を諦めることについてどう思う?

県外に出るのも、すごく良いことだと思います。私自身、18歳で徳島を離れて、2〜3年ほど東京でプログラマーをしていました。外に出ることで、自分の中の価値観や考え方がいい意味で壊れて、新しい世界が見えてきたんです。
「どうせ徳島だから」とあきらめるんじゃなくて、「どうせ徳島なら、みんなで面白いことしようよ」みたいな空気ができたら最高ですね。

読者へメッセージ

PCWは、表現の場を提供しながら、地域や福祉に貢献することを目指して活動しています。でも何よりも、〝意志を持って動くこと〟ってすごく大事だと思うんです。
目標がないと、人のせいにしてしまったり、環境のせいにしてしまったりすることもあると思います。だからこそ、どんなことでもいいので、自分が夢中になれるものを見つけて、どんどん進んでいってほしいなと思います!

インタビュー動画はこちら

※この記事はフリーマガジン「AWAP 2025年号」に掲載された内容をWEB用に再構成したものです。
取材は、2024年11月30日(土)に開催された公開収録イベント
夢語りシンポジウム」にて実施されました。

  • 記事を書いた人
    【ASC2期生】ことね
AWAPの運営する学生コミュニティ『AWAP学生クリエイターズ』メンバー。AWAP編集部と共にフリーマガジン制作やイベントなどの活動を行っている。

この記事へのコメント

メールアドレスが公開されることはありません。

HOME > AWAP2025年号掲載 > 【カッコイイオトナ】中山知保さん「デジタルアートの力で地域と福祉をつなぐ」