

どのような活動をしていますか?
徳島でアーティスト活動を5年くらいやっています。その活動の中で、自分の活動だけじゃなく、エンターテイメントを通じて徳島を盛り上げていくことができたらな、と思うようになりました。そこで、2023年に会社を立ち上げて、アーティスト志望の方をプロデュースしたりイベントを開催したり、エンタメで地域を盛り上げるための活動をしています。
その活動を始めたきっかけは?
高校生まで徳島に住んでいたんですけど、AWAPさんも言っている「どうせ徳島やし無理やろ…」みたいなことを、僕自身も感じていました。「一日でも早く徳島を出たい!」という気持ちがあって、京都の大学に進学して、そこで音楽活動を始めました。
今でこそSNSで音楽活動されてる方も多いのですが、当時はまだそんなことはなくて。活動を始めて少し経った頃から、SNSが普及しだして、「SNSがあれば、どこの街に行ってもできるかもなあ…」と、うっすら思っていました。
東京と比べると、京都や大阪も地方ですが、関西中心に活動している中で東京のアーティストと一緒に何かできることもあったし、自分の中でも、そこに追いつけるような何かができた、という感覚もありました。そういったことから「これは徳島でもできるんじゃないかな」と。
28歳の時に徳島に帰ってきたんですけど、シンガーソングライターとして活動している人が少ないことに気づき、まずは自分が徳島でやってみようと思って、この活動を始めました。
徳島で活動していく中で、「みんなもっとやったらええのに…」と思う場面が本当に多くて。徳島の大学などでボーカルの講師をしていたこともあるんですけど、学生さんたちを見てても「どうせ徳島やし…」という雰囲気でしたね。
ロールモデルというか、前を走ってくれるシンガーソングライターがいるのといないのとでは、大きく違うし、徳島にはそういう存在がいないんですよね。そこで「じゃあ私が走りましょう!」みたいな(笑)そういう使命感のようなものを感じたのが、この活動を始めたきっかけです。
徳島で活動するメリット・デメリット
メリットであり、デメリットでもあるのは、ライバルが少ないことです。僕が関西でしていた活動を、そのまま徳島で実践してきて数年経ちましたが、僕のことを知ってくれてる方が増えてきたかな、と思います。東京や大阪では同じようにはいかないので…。
でも、それは同時にデメリットでもあって。誰かと一緒に切磋琢磨する、競い合いながらやっていく、という状況があまりないです。
高校生シンガーをプロデュースしているんですけど、育てながら、「一緒に頑張っていこう」ということをやらないといけないと思っています。
あと、2024年3月に、徳島で音楽フェスを開催したんですけど、従来の徳島の音楽イベントって、チケット代が安かったり、無料のイベントもすごく多いんです。おかげさまでフェスのチケットは完売しましたが、チケットを販売していく中で「音楽を楽しむ対価としてお金を支払う」という文化が徳島にはまだまだ少ないということを痛感しました。そういうところも、アーティストが活動しにくい理由のひとつだと思います。
無料や安価のイベントは、補助金や助成金で運営費用を賄えている、というケースも多いんですけど、本来こういった音楽イベントをするためには、大きな予算が必要です。それを賄うためには、それなりの金額のチケット代をいただかないと成り立たない、ということを、あまり理解していただけていないんですよね。
加えて、アーティストを支援するという意味でもチケット代は必要だと、認知を拡げないといけない、というのが、今の課題です。
目標や夢
前述の音楽フェスは、あわぎんホールで開催したんですけど、次のステップとして、数千人規模のフェスを2〜3年後に開催することを目標にしています。そして、さらにその先が、ポカリスエットスタジムくらいの規模感の大きなフェス。それが夢というか、自分がやらなきゃいけない、やった方がいい、やりたい、と思っていることです。
「どうせ徳島だから…」と県外に出てそれっきりや、夢を諦めるってどう思う?
そう思ってしまうのも仕方ない環境だとは思います。でも、僕たちがプロデュースしているアーティストの卵たちが、どんどん活躍したり、「意外と徳島でもいけるやん」ということを体験してもらえるようなイベントを拡げてげていけたら、「俺もやってみようかな、私もやってみようかな」が増えるんじゃないかな、と。そのためにも、まずは僕たちが、少し先を走っていかないといけないですね。
読者へメッセージ
「徳島に居てもできるんやで」ということを、どんどん伝えていきたいです。
プロデュースしている高校生シンガーも、以前は大阪の事務所に通っていたんですけど、徳島に住みながら大阪に通うとなると難しいし、大手に行っても活躍できる保証はない世界なので。今は徳島で頑張ってくれています。
結局、自分でどこまで頑張れるか、が一番大事だと思います。そして、それを徳島でどこまでできるか、を僕たちがまず作ります。それを見て「じゃあ私も頑張ろう」って思ってもらえるように頑張るので、ぜひ見ていてください。そして一緒に頑張りましょう!
インタビュー動画はこちら
※この記事はフリーマガジン「AWAP 2024年号」に掲載された内容をWEB用に再構成したものです。
取材は、2023年12月2日(土)に開催された公開収録イベント
「夢語りシンポジウム」にて実施されました。
あとがき
どうせ徳島だし…を実際経験して行動しているからこそ、親近感もありつつ、同時に徳島で活躍されている素晴らしさも感じました。自分の好きなことで、地元に貢献する姿は、とてもかっこいいなと思いました。