連載概要
劇団まんまる女優、フリーアナウンサー、司会、声優講師など様々な活動を行っている清水宏香さんによる連載。現場で活躍する女優ならではの情報や観劇レポートなど、『演劇』に関する情報を発信してくれます。
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【vol.8】小さな舞台の大きな力
劇団まんまる清水宏香です!
去る6月18日(土)、我々が稽古をしている「アトリエくま」にて、久しぶりの演劇公演が行われまし
た!
東條優紀×宮井悠二人芝居企画
「デスメタル姉妹」
劇団まんまるの忽那一樹が手掛けた40分程度の二人芝居で、本番の日以外はほぼ3人で稽古を積み重ねて作り上げるという超ミニマムな演劇です。
タイトルだけ見るとkissみたいなメイクした姉妹のお芝居っぽいですね!
確かに少し不良っぽいスカジャンのデスメタル姉が出てきましたが(笑)、いろいろとこじらせた姉妹の歪かつ美しい愛を感じるお芝居でした。
アトリエくまは大きな規模の演劇ができる空間ではありません。
これまでも我々劇団まんまるはじめ、県内外のいろんな団体がここで公演を行いましたが、どの公演も身一つだったり柱一本だったりと身軽な物でした。
でも、小さい場所は小さい場所なりの利点があると私は思っています。
会場の照明が溶暗すると、闇の世界が広がる。
これがほぼ全ての演劇の始まりです。
この時、大きな会場だと天井が高いので、空間の揺れを感じやすい。大勢の人が身じろぎしたりする音、咳払いの音も響きます。
翻って小さな小屋では、空間自体が小さいので、揺れがほとんど無い。狭いと人は自然と息をひそめてしまうのかもしれません。
この閉塞感を伴う闇が観る者の集中力を研ぎ澄ませ、次に訪れる溶明の舞台には強い求心力が生まれる。
つまり、小さな小屋はこの求心力がより生まれやすいのではないかという持論です。
今回の演劇「デスメタル姉妹」は、舞台に椅子だけの道具、出演者も二人だけ。
なのに、ぽつりぽつりと紡がれる言葉だけで彼女たちが見ている夕暮れの風景や、夕飯の匂い、吹く風なんかを感じることが出来ました。
もちろん本人たちの演技が成せる業です。
アトリエくまという小さな小屋が、観客の想像力を更に膨らませ、彼女たちの演技の翼を広げることに繋がったのではないでしょうか。
とても素晴しい公演だったと思います。
久々の公演、アトリエくまも喜んだ事でしょう。
他にも、小さい小屋は舞台と客席との距離も近いので俳優の顔がよく見える、台詞が届きやすい、最前列取りやすい。
公演側からしても、収容人数がそもそも少ないので受付処理が楽などメリット沢山。
ただ・・・アトリエくまはちょーっと場所がわかりづらいのが難点なんですけどね!
という事で今一度アトリエくまの位置情報を載せておきますね!
アトリエくま位置情報
所で、文中で「溶暗」「溶明」と書きましたが、これはフェードインで明転・フェードアウトで暗転することです。だったら分かりやすいように最初からそう書けよ!って話ですが(笑)
この表現がとっても素敵なので使いたかったのです。
昔は戯曲のト書きでよく見ましたが、最近はあまり目にしなくなりました。
物語が、世界に溶け込むように始まっていき、再び夢のように溶けていく。
そんな演劇の魔法を表しているような演劇用語です。
私は、この瞬間に恋して演劇を続けているのです。
- 劇団まんまる
- 「面白い奴が偉い!」をモットーに徳島で活動する劇団
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