連載概要
劇団まんまる女優、フリーアナウンサー、司会、声優講師など様々な活動を行っている清水宏香さんによる連載。現場で活躍する女優ならではの情報や観劇レポートなど、『演劇』に関する情報を発信してくれます。
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【vol.15】ホールにて
ご報告が遅くなりましたが・・・
劇団まんまる、3月12日(日)
「チャレンジとくしま芸術祭2023受賞者発表会」
無事上演終了しました!
前回のブログで書いた通り、チャレンジとくしま芸術祭初参加にしてチャレンジ奨励賞を受賞した劇団まんまる。
1月の本祭は県立近代美術館ロビーが会場でしたが、3月の受賞者発表会は県立21世紀館イベントホールです!!!
ああ、懐かしい・・・
劇団まんまるも本公演でかつて使用したことがありますし、私個人でもいろんな劇団の役者として、司会者として、そして観客として数知れず訪れた場所です。
しかしながらコロナ禍に入り、その舞台を踏むのは久しぶりの事でした。
与えられたリハーサル時間につい口から出てくるのは、前回ここで上演した2020年の徳島演劇ネットワーク公演「パンドラの鐘」ヒメ女のセリフ。
「パンドラの、鐘~!!!」
すみません、写真が使いたかっただけですすみません。あれから3年か。
さて、本祭は舞台がロビー。舞台らしい台などはなく、ロビーの白く冷たくきれいな床にそのまま立ってパフォーマンスします。そして照明もありません。強いて言うなら降り注ぐ昼の日差しがそれ。
方や、受賞者発表会の舞台はイベントホール。ホールですよ、個人的に借りたら結構高いんですよ。そこを、受賞しただけで(だけでではないけども)タダで使わせてもらえるなんて!この上なき僥倖!
ところで、劇団まんまるは2月末で8周年を迎え、とうとう9年目に入ったのですが、その間に劇団員も相当数入れ替わっています。
今回のチャレンジとくしま芸術祭に出演した4人の内、3人は珍しく最初からいる劇団員ですが、後1人は去年夏から加入したくらちゃんです。
彼女はすでに去年8月のイベント「山の日企画」、10月の本公演「秋のまんまる大収穫祭」に出演しているんですが、そのどちらも、いわゆる演劇などステージイベントの為の会場ではなかったのです
なので、今回が初のホールデビューとなったわけです。
ホールは何が違うのか。
物理的に違うものはたくさんあります。
例えば、このイベントホールには楽屋があり、楽屋とホール袖の間が出待ち室になっています。
そこには姿見があるんですが、周りをぐるっと囲むように赤・青・緑・生の電球が付いています。これを見てくらちゃんは凄く珍しがってました。
そう、舞台には(それもちょっと古めの)こういう照明付きの鏡って結構あるんですよね。とりあえず、この電球の色は光の三原色で、テンションアゲアゲのパーティライトではないことを教えておきました。
他にも、袖幕が飲み込まれるように大きい事、ホリゾント幕がいろんな色に変わる事、調光音響卓がめちゃ遠くにある事、たくさんあります。
そのどれもが新鮮だったろうなと思います。
でも、一番違うのは、本番の時の集中度合いです。
ホールという場所は、音や光を遮断する密室でもあります。そこには非日常を生み出せる集中力が自ずと生まれるのです。
思い返せば私は、劇団員の誰よりもこのイベントホールで演劇をしてきました。大学時代からですのでかれこれ20年です。嬉しい幸せな思い出もあれば、大失敗をして楽屋で人の顔を見られないほど辛く、シャワールームでガンガンに泣いた思い出もここにあります。
舞台が跳ねて、皆で重たい荷物を持って長い長い搬入口を歩いて撤収する、その仲間の背中すら、私の中で永遠に消えない記憶です。
それもひっくるめて、集中させる何かがこういうホールにはあるのかな、と感じます。
くらちゃんは、実は今回の受賞者発表会が始まるまでかなり緊張していました。
演劇を始めて間もないので当然ではあるのですが、本番というのはなかなか稽古通りにはいかないものです。
でも今回、イベントホールでの上演終了後、本当に晴れやかな顔をしていました。
「すっごい楽しかった!」と本人も口にするほど。
ああ、ようやく舞台の恐怖が楽しさに変わったんだな、と思いました。ホールの力が彼女の後押しになったのかもしれませんね。
私の中でまた一つ、ここでの嬉しい思い出が増えた瞬間でした。
というわけで、劇団まんまる「生きてるだけでポエトリー」、15分という短い物語の割に長い稽古期間となりましたが、無事終演です。
さあ、次はどんな舞台が待ってるだろうか。
すぐにではなくても、またいつかこのイベントホールにも立てたらいいな。
ちなみに、私のイベントホールの一番好きな場所は、影アナをする下手の袖です。
追記
AWAPブロガーのミスミアヤカさんにもお会いしました!
ミスミさんも受賞者展示されてまして、もちろん拝見させていただきましたよ!
展示の内容につてはミスミさんも書かれると思いますが、様々な文章の中心に据えられた「魚になりたかった」という言葉にシンパシーを覚えました。
私の名前「清水」には水が入ってますし、何なら水族館の生き物が恋をするという物語を書いて上演したこともありますので、おぉ!と心震えました。
他にも、今回のチャレンジとくしま芸術祭で様々な作品やアーティストに出会えましたし、刺激を貰いました。こうしてまた新しいチャレンジが生まれていくんでしょうね!
これを読んで参加してみたくなったあなた、時が来れば24年の募集があるでしょう。それまでは23年のサイトを見てアイデアを膨らませてください!
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- 「面白い奴が偉い!」をモットーに徳島で活動する劇団
- ホームページ https://troupemanmaru.com/
- Twitter @troupemanmaru
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