同性夫婦であるジャッキーとジュールズ。ある日ジャッキーの過去を知ってしまったジュールズは彼女の手によって崖から突き落とされてしまう。
湖畔に面した森が舞台とあって湿度高めな重厚な空気感と美しい映像、じっとりと舐め回すような長回しから始まるオープニングで「こりゃ良作じゃわい」と確信するカナダ産のホラーサスペンス。
しかしね、良い意味でその初っ端の期待を裏切られました。
家族が暗殺者だったという実話を元にした至って真面目な『THE ICEMAN 氷の処刑人』という作品もありますけど、今作も真面目に重厚に作られながらもコメディに転ずるという一風変わった作りになっているのです。
なんてったって「愛した妻はシリアルキラー」であり、その妻からどうにか生き延びるっていうプロット一点で突き進む作品ですから。
シリアルキラーであるジャッキーのサイコパスっぷりが爆発する後半からコメディ具合が加速して、クラシックが流れる中、ルミノール反応で照らされながら踊り狂うジャッキーの姿はもう笑うしかない。
だけど決してB級的滑稽さではないし、監督が意図したあえての”ズレ“から生じる笑いであり、ホラーとコメディは紙一重ってラインをうまく行き来する演出なのです。
命からから逃げ回るジュールズのしぶとさも中々ホラーですが、彼女がどう生き延びるのか、ジャッキーはなぜ執拗に彼女を追い回すのか、立場が逆転する後半も含め一瞬たりとも目が離せないハラハラサスペンスです。ぜひ。
- ●デーモン・インサイド(2018)
- 監督コリン・ミニハン
- 出演ハンナ・エミリー・アンダーソン/ブリタニー・アレン/マーサ・マックアイサック