2025年9月4日

【わたしの夢】安東 陸人さん「人と福祉がつながる場所をつくりたい」

あなたの夢は?

僕の夢は、医療と福祉と人の暮らしの間のハードルを下げることです。簡単に言うと、医療福祉のバックグラウンドを持っている人と、地域の人が、暮らしの中で簡単に関われるような場を作ることですね。

夢をもったきっかけは?

僕は兵庫出身で、大阪の大学に進学したんですけど、大学時代、自分は病院で理学療法士として働くことには向いていないなと思ったんです。じゃあどうしようかな、どういう働き方があるのかなと考えていた時期に、友達とシェアハウスを始めて。その中で、シェアハウスの運営を通じて、地域の高齢者や街で子育てをしている親御さんと、大学生が簡単に関われるような場作りをしていました。
シェアハウスの近所に、70代後半のご夫婦が住んでいたんですけど、奥さんが怪我で入院することになり、ご主人は、しばらく1人で暮らさないといけなくなって。
そこで、僕のシェアメイトが、毎日その方のお宅へ顔を出して、「一緒にコーヒーを飲みませんか」と声掛けをしてくれていたんです。その話を聞いて、そういう声掛けが医療福祉的な視点を持っているなと感じました。
医療や福祉って、病気になったら必要、とかどちらかというと、負のイメージがあると思うんですけど、そうではなくて、地域の人と福祉が繋がることで「幸せだな。もっとこの町で暮らしたいな。」と思えるような場所を作ることができたら、自分の強みも、理学療法士の資格も活かせると思って、この夢を目指すようになりました。

夢を叶えるためにどんなことをしている?

今は、平成医療福祉グループで働いています。「病院で働かない」と言ったのに(笑)平成医療福祉グループは、博愛記念病院や徳島平成病院、あと介護施設などを運営しているグループなんですけど、新しく神山町に、地域での暮らしの一部になるような診療所の立ち上げをしています。
その中で、医療的なサービスはもちろん、けれど医療という概念に囚われずに、神山のIT会社やサテライトオフィスをもっている企業とも協働して新しい取り組みをできたらいいなと考えています。

不安や苦労したことは?

2023年に大学を卒業したんですけど、理学療法士としての大学卒業後の進路って、大学を卒業したら病院に就職するか、大学院に進むか、の2択なんですね。「人と福祉が繋がる場をつくりたい」となっても、それでお金を稼げるような仕事は、まず見つからなくて。大学4年生の時に、病院実習や国家試験の受験勉強に追われながら、「就職はどうしよう。僕は来年何をしているんだろうか」と思いながら生活していました。悶々と悩む時間が多かったです。
あとは、神山に来た当初、何をするかよくわからないまま神山に来て、自分が何の仕事をしているかが説明しづらい状況だったので、そこにも不安を感じていましたね。

徳島で夢を追う理由

「人と福祉が繋がる場をつくりたい」と思った時、大学を1年休学して、日本の面白そうな施設を巡って勉強していたんですけど、その中で、長野県軽井沢町の診療所にお伺いしました。そこでは「症状や状態、年齢じゃなくって、好きなことする仲間として、出会おう」というキーワードを掲げていたんです。医療をベースとしている場所としては珍しくて、すごく魅力を感じました。そこでしばらく過ごさせてもらって、僕もこの診療所のような場づくりができたらいいなと思いました。
でも、当時その施設で求められていたのは、医者や看護師だったので、僕が参加するのは今じゃないな、と。そこで、代表の方に、僕のやりたいこと、場づくりや立ち上げができるところがないか相談したんです。そうしたら「徳島の神山でするよ」って。それがきっかけで徳島に来て、今に至ります。

徳島で頑張っていてよかったと思うこと

まだ徳島歴が半年と短いので、あまり深い話はできませんが、神山町で生活していて素敵だなと思うのは、寛容的なところです。生活している中での心理的ハードルがすごく低い
大学では、「ここまでは絶対にやらないといけない」という規則がしっかりあったし、実習もシビアな世界でした。でも、今、僕のいるところは、基本的に何をやってもいいよというスタンスなんです。
あと、僕は自然が大好きで。大阪にいた時は、車で2〜3時間走らないと自然があるところに行けませんでしたが、今だと自然が目の前に広がっていて、すごくいいなと感じてます。

読者へメッセージ

徳島でも、リハビリ職や理学療法士を目指して、そのための専門学校や大学に進学して学んでいる学生さんは、たくさんいると思います。でも、決められた道に入ったからといって、絶対にその道にいないといけない、なんてことはありません。
僕は、その縛りを少しでも緩くしたいし、理学療法士の進路、働き方って、こういう(僕のような)働き方もあるんだよ、というのを身をもって示せるように頑張りたいです。理学療法士になったからといって病院で働かないといけないわけではないし、飲食店や街の中で、地域の人の暮らしに関わってくれるような医療従事者がひとりでも増えたら嬉しいですね。

インタビュー動画はこちら

※この記事はフリーマガジン「AWAP 2024年号」に掲載された内容をWEB用に再構成したものです。
取材は、2023年12月2日(土)に開催された公開収録イベント
夢語りシンポジウム」にて実施されました。

あとがき

自分からアクションを起こし続け、見知らぬ土地で頑張ることを決めた意思の強さや現状に満足せずずっと努力を続けているところに感銘を受けました。これからが楽しみですし、もっと徳島のことを知ってほしいなと思います。

  • 記事を書いた人
    【ASC1期生】ここあ
AWAPの運営する学生コミュニティ『AWAP学生クリエイターズ』メンバー。AWAP編集部と共にフリーマガジン制作やイベントなどの活動を行っている。

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