連載概要
劇団まんまる女優、フリーアナウンサー、司会、声優講師など様々な活動を行っている清水宏香さんによる連載。現場で活躍する女優ならではの情報や観劇レポートなど、『演劇』に関する情報を発信してくれます。
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【vol.3】こんな困難
こんにちは!
なかなか演劇公演が打てずにもやもやしている清水宏香です。
新型コロナウィルスというのは、本当に、私たちの創作を阻んできやがります。
長引く内に付き合い方など少しづつ分かってきてはいますが、創作に向かう『意欲』がどうしても戻ってきません。
私個人やウチの劇団だけの話ではなく、私が長年携わっている声優ゼミナールなどもそうです。コロナ禍で生徒数減少し、現在オンラインレッスンを行っておりますが、これにより通う手間が減り生徒が増えるかと思いきや更に生徒数が減っているという現状です。
困難な現実を前にした時、人は生きる上で必要な事柄から選んでいく。
そうすると芸術系の習い事はどうしても下位になりがちなのです。家にいると誘惑も増えますしね。
それでも、困難を乗り越える力をくれるものはやっぱり、芸術なんだと信じています。
そういえば過去に遭遇した『困難』について思い出しました。
テレビドラマでおなじみ、花登筺作『鯖の頭』、去る2019年の3月に徳島の演劇団体が集まって上演したのですが、
実は、この作品を上演するにあたって大きな壁があったのですよ。
全ての著作物には著作権という物がありまして、音楽などが有名ですが、戯曲もその権利は発生します。
花登筺さんは 1983年10月3日にこの世を去っておりまして、著作物の管理は元奥様である女優の星由里子さんがされていました。
従い、2010年時は星さんに脚本使用の許諾を頂いた訳です。
ところが星さんも前年2018年に逝去されていて、その後の花登さんの作品の取り扱いについては不明の状態になってしまっていたのです。
さて、どうするか。
徳島演劇ネットワーク合同公演主催は、もう既にこの作品を構想を練り始めている。
後には戻れない。
そこで、ひとまず花登筺さんの出身地である滋賀県大津市に電話をしてみました。もしかしたら、地元出身の作家という事で何かしら情報をお持ちかもしれない。
電話対応してくださった市役所の方は、残念ながらこちらでは分かりかねるとの事ではありましたが、その代わり、星さんの所属事務所に問い合わせてみたらどうかと提案してくださいました。
ということで、東宝芸能へ電話。
っていうか東宝芸能という大手芸能事務所にしがない一アマチュア劇団員が電話するなんて普通ないですからね、いろんな人と対峙する事がある私ですがなんか緊張しました。
東宝芸能窓口でも不明とのお答えでした。がさすが大手、いろんな部門があるので、演劇部の方にお問い合わせを、との事でしたので従います。
しかしこちらでもやはり不明。
詰んだ。
一応、演劇部の方で出て下さった方が上の人に聞いて下さるとの事でしたので、後はもう待つしかない状態になりました。
果報は寝て待て。
諺通り(?)やべぇくらい寝過ごした朝、目覚まし代わりに電話をかけて下さったのはそう、東宝芸能の担当の方でした!
協議の結果、花登さんの作品に関しての窓口になって下さるとの事でした。
ミッション(著作権)、クリアー!!!サクラサク!!!!!
かくして困難を乗り越え、稽古もはかどり、無事公演は大成功に終わったのでした。
当時広報担当だった私もここまで肝が冷えた事はありませんでした…。 でも、だからこそやり甲斐のあった公演でもあります。
この出来事ももう3年前。
当時からは想像もつかない世の中となっていますが、
きっと今の困難も、芸術が乗り越えさせてくれると信じて。
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