2023年9月4日

【vol.21】演劇、ツツウラウラ/清水宏香

連載概要

劇団まんまる女優、フリーアナウンサー、司会、声優講師など様々な活動を行っている清水宏香さんによる連載。現場で活躍する女優ならではの情報や観劇レポートなど、『演劇』に関する情報を発信してくれます。

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【vol.21】演劇、ツツウラウラ

こんにちは!清水です。

無事に「山の日企画(vol.20参照)」も終了、また次の上演に向けて動き出している所です。
ちなみに今回の山の日企画『鳥籠の中で』は前回より笑いこそ少なかったけど、演じるステージ を食い入るように観てくれているのがよく分かりました。

また、物語の舞台が明かされる最後のシーンの解説の後に「そういう事かー!!!」と大きな声が上がったのもライブハウスって感じで良かったですね!
今回初舞台の劇団員もいましたがよく頑張りました。

が、また次回も挑戦したいです!

さて、次回公演の案内の前に、閑話休題。

演劇の役職というとやはり一番は「俳優」ですよね。表方である俳優やりたくて演劇を始める人がほとんどです。
しかしその他にもたくさんの役職があります。いわゆる裏方。裏方さんなしには俳優は舞台には立てません。素舞台で一人芝居で作演をやるとしても、明かりなしには真っ暗で見えないし、舞台監督がいないと幕が開きません。

私も例にもれず俳優志望で演劇を始めましたが、歴も長いので、高校演劇部時代から様々な役職をやらせてもらいました。
今回は、そんな思い出と共に裏方の役職を紹介していきます!

脚本・演出

いきなりデカい裏方です。

入部して数ヶ月で新人公演、そして秋には文化祭公演、春は卒業生公演に新入生歓迎公演と発表の回数が多い高校演劇部に入部したためでしょうか。

その内のどれだかは忘れたんですが、かなり早いうちに脚本・演出をやらせて貰いました。戦争で特攻隊に行く男の子が主人公の物語で、家は勿論、授業中も夢中で歴史や地理を調べながら書きあげました。
しかし「土浦航空隊」の読み方を間違えていると公演後社会の先生に指摘されるという。

当時はインターネットはまだ黎明期でした(泣)
悲しい時にご飯を食べるというシーンがどうしても作りたくて、頑張った作品です。

音響

文化部の大会として、徳島県高等学校総合文化祭・通称高文祭というのがあります。運動部でいうところのインターハイですね。

私は1年生の時に2年生のサポートとして参加したんですが、初めての大会、初めてのあわぎんホール(郷土文化会館)、初めての音響!初めて尽くしの上に、今でも受け継がれているのか知りませんが、当時は会館にいるスタッフさんに無礼が無いように!というのを口酸っぱく言われてましたので、リハも本番も謎にビビり倒してました。

台本に従って音を出すきっかけを書くQシートもしっかり作り、準備は万端!だった筈なんですが、

何と雨のSE音を流していると途中で終わってしまったではありませんか!

SE音を入れての通し稽古をしなかったのか、本番で興が乗って先輩の芝居が延びたのか、今でも原因は不明です。ただただ冷や汗かきました。あの時はごめんなさい!

道具

舞台装置から小物まで様々な道具がありますが、思い出すのは「雪籠」です。

私の通う高校の体育館舞台で校内発表を定期的に行っていまして、ある公演のクライマックスで雪を降らせる演出をすることになりました。
演劇の指南書としておそらく各学校に一冊はあったんじゃないかと思われる本、「THE・STAFF」当時の私の愛読書です。
この中に雪を降らせるための装置、雪籠の作り方が書いてあったので、後輩と一緒に作りました。

しかし、この雪籠を吊る術がなかった。
当時の顧問の先生はあまり演劇に詳しくなく、先輩の知恵が唯一の頼りでした。
体育館の構造を調べると、天井に上がる事ができる事が分かりました。方法はこれしかない。人が天井に登って降らせる!
問題は、公演中ずっと天井に張り付いていなければならない事でした。
高校生にはそんなの全く問題ありません。私と後輩1人で一緒に登った記憶があります。秘密の隠れ家にいるみたいで何だかワクワクした事を思い出します。

制作・広報

制作は演劇公演の上演を決める、劇場を借りる、予算作成・管理、スタッフの手配などなど多岐に渡ります。団体によってもその仕事量は変わりますが、本当に何でも屋さん。
最近では芸術支援の補助金申請で制作が大活躍しています。
そして私の今の仕事に繋がっていると言っても過言ではない役職が、演劇公演をお知らせする広報です。分かりやすいのはチラシやパンフレットづくりですかね。
それ以外にも、新聞や雑誌、テレビラジオなどメディアを通して宣伝してもらうというやり方があります。

大学生の時に入っていた劇団では、劇団員が手分けして企画書を持って放送局を訪問してました。四国放送さんが稽古場まで取材に来てくれたり(稽古場密着的な感じだった、そういえば放送見てないや)、ラジオに生出演したりと楽しかったです。
楽しくなかった・・・というか大変だったのは、広告を取る事でした。パンフレットに掲載する広告枠を買ってもらえるお店を探して、地道に自転車で営業に回っていました。ちょうどお盆の時期。
阿波おどりの喧噪の中、脇目も振らずペダルを踏みしめた物でした。

衣装

私は服が好きです。めっちゃ好き。なのでこの役職は一番好きかも。
何回か担当しましたが、一番力入ったのが、徳島演劇ネットワーク公演「パンドラの鐘」です。
大好きな野田秀樹氏の作品、オリジナルはひびのこづえ氏。もうめちゃ凄い衣装でした。他にも蜷川幸雄版も観てますし全国数多の劇団もこの作品を上演しているので嫌でもいろんな情報が入ってくるんですが、キャストの体や雰囲気を活かしてデザインを考えました。舞台は日本なんだけどファンタジーでもあるので、その世界を表現するために過去一手作りが多くなり、衣装チームは奮闘したと思います。

私の演じた女王ヒメ女の衣装は、着物の帯を解いてビスチェに仕立て直したものです。裁縫の超絶得意な子が型紙から作ってくれました。彼女が居なければ何も生まれなかった。

・・・という具合に、ひとくちに裏方と言ってもツツウラウラ、様々な役職があります。
そして人出が常に足りない演劇業界では1人が何役もする事もザラです。

私は昔から何でもやりたがりなので、これ以外にもいろいろやりました。制作と舞台監督と照明オペレーションはまだした事がないかも。

なお、今年8月に行われた「かごしま総合文化祭」(全国高等学校総合文化祭)演劇部門で、
城東高校が上演した「21人いる!」が初めて全国トップの最優秀賞を受賞しました!県内高の同賞獲得は39年ぶり、凄い事です。
徳島県勢はこれまで全国大会に何度も出てますが、頂点に輝いた事は無かったのです。
私たち大人もこの快挙に負けず頑張ろうと気持ちを新たにしました!

城東高校演劇部は、俳優の演技は勿論の事、かなり裏方の組織が整っており制作部までちゃんといるそうです。私の高校には制作という部署はありませんでした。強さの理由の一つだと思います。

演劇って俳優やらなあかんのやろ?台詞言うんハズいわ~wwとか思ってる人!そんな事ないけんな、裏方やってめちゃくちゃ必要なんよ!

いっぺんやってみんで???

(と言って勧誘して、その内俳優が休んだとかで台詞代わりに読ませて褒めて俳優にするまでがテンプレ)

劇団まんまる
  • 記事を書いた人
    清水宏香
徳島県出身・在住。劇団まんまる女優、フリーアナウンサー、司会、声優講師など様々な活動を行っている。AWAPでは、現場で活躍する女優ならではの情報や観劇レポートなど、『演劇』に関する情報を発信。

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