吸血鬼でありチリの独裁者として君臨してきたピノチェトは、自ら血を飲むのを止め、死に絶えようとする。
しかし家族は彼の財産を狙って、なかなか彼を死なせようとはしない。
そんなとき、彼らの歯車を狂わせる女性が姿を現す。
実在のチリの独裁者アウグスト・ピノチェトが「もしも吸血鬼だったら…」という奇想天外なストーリー。
めちゃくちゃコメディなのかと思いきや、モノクロ映像と重厚な音楽にグイグイ引き込まれる、センスが尖りまくった極上のブラックコメディです。
現実のピノチェトはかなり残忍な独裁者として有名ですが、彼を吸血鬼として描くことで「今まで処刑してきた多くの人々は、ただ殺されたのではなく『食材』として消費されていたのだ」という、ゾッとするような風刺を効かせているのです。
なんか歴史とか絡んでて小難しそう・・・と思ったあなた、全然大丈夫。
私も歴史に疎いし彼の存在を全く知らなかったけど、ゴタゴタした家族もの、そして一風変わった吸血鬼ものとして存分におもしろい!
何より、吸血鬼が空を飛ぶシーン、まじでカタルシス!
中盤は少し物語が停滞するんだけど、鬱憤溜まった後に訪れる空飛ぶシーンはまじで鼻血出そうなくらい興奮します。
個人的に大好きなアイスランドのバンド、シガー・ロスのMVですか?って思ったくらい、センスの塊です。
とにかく映像がすんばらしいので、部屋真っ暗にして世界観に浸ってほしい!
- ●『伯爵』(2023年)
- 監督パブロ・ラライン
- 出演ハイメ・バデル / グロリア・ムンチマイヤー / アルフレード・カストロ


