

娘を失った助産師のセリアは悲しみに暮れるが、ある日娘の遺体が病理医であるローズによって蘇生実験の対象になっていることを知る。
二人は利害一致し、倫理的に許されざる沼にハマっていく・・・。
子供を産んだ経験のある人間にとっては中々地獄のような作品を観てしましました・・・。
だけど、これが何とも言えない後味の良質なホラーだったのでご紹介させてください。
失った娘を蘇生し、それを維持するために奔走する母セリアと、人間に対して全く感情がなく実験にしか興味がないようなサイコ味のあるローズの二人の関係性が何より面白いのです。
徐々に娘への愛が狂気に変わりゆくセリアと蘇生実験の対象である少女によって人間味を取り戻していくローズの対比が面白くて、蘇生した少女がまたいつ命を落とすのかという嫌な気配をずっと感じさせながらも変わりゆく人間を丁寧に描いているドラマ性が素晴らしいのです。
だからこそ、ラストに母が発するセリフと表情がすごっく怖い。
そして目を背けたくなるほど解剖シーンも丁寧にはっきりと描かれていて、ボディホラーの側面でもしっかり怖い。同じくボディホラーを描いた『TITANE/チタン』のように、命を生み出す重さがずしんと伝わってくる静かで厳かな作品です。
子供を失うという悲しい作品ではあるけれど、目的のためには手段を選ばなくなる人間の狂気を描いたホラーとしてはすごく面白いので、子供がいる方もいない方も、ホラー好きならぜひ。
- ●『Birth/Rebirth』(2023年)
- 監督ローラ・モス
- 出演マリン・アイアランド / ジュディ・レイエス / モニーク・ガブリエラ・カーネン